川口オートのSG「第56回日本選手権オートレース」は4日、最終日を開催した。優勝戦は黒川京介(26=川口)が、フライング再発走にも動じることなく、10周回を逃げ切って優勝。念願のSG初制覇をパーフェクトで達成した。大会3連覇を狙った青山周平(39=伊勢崎)は2着、3着には中村杏亮(29=飯塚)が入った。

迫る青山周平を振り切った

 1度目の発走でフライングを切った黒川が、2度目のスタートを見事に決めて1コーナー先取り。この瞬間、いったんは悲鳴やため息で充満したスタンドは、一気に大歓声に変わった。背後に付けた青山に仕掛ける隙を与えない完勝劇で、初日から6連勝。今節の黒川はすべてが完璧だった。

「まずは申し訳なかったなと…。でも、切れ自体は良かったので、タイミングは置いて(2度目も)しっかり切ろうと気持ちを切り替えました。出だしは少し遅かったけど、そこから伸びていってくれました」。SG優勝戦でフライングを切った選手が優勝するケースは、1991年以降では前例がない。今節は心技体、すべてが研ぎ澄まされていた。

 試走は黒川3・30に対し青山は3・26。青山の優位は動かないと見られたが「準決よりも体感はいいぐらいで、試走ほど差はないと思った。レースでもインコースを速く走る練習の成果が出ました」と、冷静なライディングで抜群のエンジンを生かし切った。

 優勝を確信したのは「ビジョンで差がついたのを確認できた残り2周あたり」。ゴール後は「SGを取るまではやらないと決めていた」ガッツポーズを盛大に解禁し、喜びを爆発させた。

ガッツポーズも解禁

 次代を担う川口のエースに待望の勲章が加わった。黒川が選手を志した時からの夢は「川口でスーパースター(王座決定戦)を優勝すること」。その実現にも大きく前進した。「そこに向け、気を引き締めて頑張っていきます」。

 年末の大一番・スーパースター王座決定戦トライアル(川口・12月27日~)へはタイトルホルダーとして、そして優勝候補として、堂々と乗り込むことになる。