飯塚オートのSG「第57回日本選手権オートレース」が29日に開幕する。トップレーサーが集結する伝統の一戦に地元の新鋭・福岡鷹(25=飯塚)が初出場。デビューから1年9か月、現行のセアエンジンでは初となる2級車(500CC)での参戦となる。もちろんパワーは劣勢。それでも〝若鷹〟はひるむことなく果敢に挑む。その熱い思いを激白した。

 ――地元SG日本選手権に出場が決定した

 福岡 やっぱり素直にうれしいですね。でも、すごいレベルのSGだと思います。オールスターより厳しいと思います。2級車ですが、だた出場するだけじゃなくて爪痕を残すような開催にしたいです。

 ――この大会は前年覇者とS級選手、それ以外は選考期間内の良走路の競走タイム成績上位者48人が出場。その中に唯一、2級車で入った

 福岡 1級車の方と同じようなタイムが出せているのは、やっぱり自信になりますね。

 ――非力な2級車で速く走る秘訣は

 福岡 コースを大きく使うことでしょうか。自分にしか使えないコースを走るように心掛けています。早くグリップを開けて外線ギリギリまでコースを使って、ハンデラインを踏むぐらいの気持ちで奥まで行って、立ち上がって戻ってくる。それを意識しています。

 ――今年ここまで3V(26日現在)。4月の川口SGオールスターも準決まで進んだ。点数をつけると…

 福岡 80点でしょうか。去年と比べたら、成長できたなと思います。

 ――満点ではない

 福岡 それには程遠いです。セッティングも、だいぶ覚えてそれなりに合わせられるようになりました。でも、夏場の熱い走路とかは合わせられてなかった気がします。それに整備面だけでなく、レースで他の選手に寄っていってしまう。その自分のミスが残りの20点ですね。

 ――寄ってしまうミスとは

 福岡 最初、どうしても後方の車が内から伸びてきた時、その車に寄ってふさごうとしていました。でも、それをするとうまく曲がらなくて、立ち上がりでやられて抜かれていました。今は、ふさぎたいと本能で寄ってしまうのをこらえて車を外に向けてグリップを開ける作業を意識してやっています。

 ――現在のハンデ位置は最高ハンデの10メートル前

 福岡 去年、メートル前やメートル前で走っている時より、冷静にならないと抜けないんです。前も後ろもいるので。レースでいっぱいいっぱいになっている中で、自分をどれだけ俯瞰し客観的に見て修正するか。練習でこういう曲げ方をするけど、それができてない、グリップ操作が雑、もっと突っ込まないと抜けない、とか客観的に見るようにしているし、見られるようになったと思います。

 ――冷静に分析するようになったきっかけは

 福岡 4月のオールスター初日が全然ダメ(7着)だったんです。その時に後ろを走っていて「何で抜かれるんだろう」と思ったらパッと頭に浮かびました。「抜きたい、人より先に行きたいで突っ込み過ぎている」とか、「グリップ操作がいつもと違う」と気づいたんです。次の日から冷静に対処するようにしました。そうしたら2日目から成績が良くなって(2、1、1着)準決に進めました。

 ――オールスター出場は大きかった

 福岡 そうですね。収穫です。やっぱり、負ける時が成長できると思うんです。1着ばかり取っている時は成長が止まるというか…。負け続ければ苦しいし、メチャクチャ悔しい。でも、どう早く立て直し修正するか、それを考えることが、すごく大事だと思っています。

 ――1着本数、優勝回数は37期でトップ

 福岡 あまり気にしたことはなかったですね。(ミッドナイトなど)多く走っていることもありますし…。

 ――同期の存在は

 福岡 メチャクチャ、デカいです。負けたくない気持ちはあります。デビューした時の(浅倉)樹良の活躍と、その後の(森下)輝の伸び。最初は2人について行けなかったというのはありました。同期が活躍しているのに自分は負けてばかり。1人で泣いたくらい悔しい時もありました。でも、どうでもいいやとは思いませんでした。やるしかないと…。練習もいっぱいしています。あの2人がいるおかげ。自分一人なら、ここまで乗れていないと思います。ただ、そうはいっても実力的なスピードやさばきは2人が上。油断しないように気をつけています。

 ――エンジンの仕上がりは

 福岡 エンジンはいいと思います。山陽GⅡ若獅子杯争奪戦の時に下周りを整備して、さらに良くなりました。普通マフラーの調整もGⅡで得たものは大きいです。あとは厳しいだろうという展開や強いメンバーが揃った番組でもスタートを残せて戦えるように。もっと強くなりたいですね。

 ――日本選手権はオープン戦となりそう

 福岡 横並びなら、よりスタート勝負になります。まだ成長できる余地は残っていると思います。今まではエンジンも良くて、うまくやってこれました。この次のレベルになると難しいし、もっと考え失敗を繰り返しながら学んでいかないと。多くの引き出しをつくっていきたいです。

 ――2級車で戦うのは今年まで。集大成の地元SG

 福岡 負けたくないですし、準決には行きたいです。ただ走るだけは嫌だし、できないことはないと思います。今までやってきたことをしっかり出し切りたい。地元だし、他場の選手の人には負けるわけにはいかない。頑張りたいです。

 ――大舞台が待ち遠しい

 福岡 結構ワクワクの方が強いですね。オートレースは難しいけど、乗っていて、この上なく楽しいです。天職です。