気になる若手オートレーサーをロッカーでインタビューする「渚のオートにまつわるエトセトラ~ロッカー便り~」――。今回は今年デビューの38期・上原大輝選手(川口)を取材してきました。オートレース選手養成所で最優秀賞を受賞した期待の新人レーサーの意外な苦悩と葛藤の日々が見えてきました。

 渚 デビューして半年。心境の変化はありますか?

 上原 やっぱりオートレースは難しいなと痛感しています。

 渚 ロードレーサーからの転身。生かされている点はありますか?

 上原 バランス感覚とかは生かされてるなと思います。逆に今までの経験が裏目に出てたりもしますね。

 渚 裏目というのは乗り方が違ったりですか?

 上原 そうですね。重心のかけ方が全然違うので今までのロードレースでの癖が出てしまったりします。また、ロードレーサーは自分自身で整備をしないので、そこは一からの勉強になって、さらに難しさを感じてます。

 渚 ロードレーサーになったきっかけは?

 上原 バイク好きな父の影響です。高校2年生の時にロードレースを初めて気づいた時にはレーサーとして食べていきたいと目指すようになってました。

 渚 お父さまも喜ばれているのでは?

 上原 はい。とても喜んでくれていて応援もしてくれています。

 渚 同じ38期でライバル選手は?

 上原 みんなライバルです。ただ自分が今、頭打ちで止まってしまっているので何か変えて行かないととは思うのですが、なかなかうまく行かないですね…。

 渚 38期の最優秀選手としてデビュー。プレッシャーは?

 上原 プレッシャーはないですけど、最優秀選手としてデビューしたからには同期の中ではお手本にならないといけないと思ってます。ただ、うまくいかないこともあり、逆に同期のみんなからパワーをもらってます!

 渚 6月5日、川口で初の優勝戦。緊張はしましたか?

 上原 程よい緊張はありました。ただ試走タイムを見て先輩の試走の速さに驚いて緊張を忘れました。

 渚 結果は4着でした。

 上原 レース自体は一瞬でいっぱいいっぱいでした。ただ追い抜かれた時に先輩の速さを一番、身近で体感できて圧倒されました。優勝戦に乗れて得るものはたくさんありました。

 渚 現在の目標は?

 上原 今は自分自身の最高タイムを超えることと大きく走ってもタイヤがタレないように同じペースで走れるようになることです。

 渚 どんな選手になりたいですか?

 上原 S級のトップクラスの選手です。

 渚 オートレース人生での目標は?

 上原 SGを取りたいですね。

 渚 ファンの皆さまへメッセージを

 上原 今は少し頭打ちになっていますけど、なんとか打破して一皮むけられるように力を入れて頑張ります! 応援よろしくお願いします!

【取材を終えて】38期の最優秀選手としてデビュー当初は注目を集めていた上原選手。36期や37期の選手が華々しい活躍をみせる中、最優秀賞かつバイク経験者という肩書にプレッシャーはないと語ってくれました。

 経験者だからこそブチ当たる大きな壁。上原選手は今、その真っただ中です。それでも「オートレースは難しい」と素直に語るあたりにトップを目指す者ならではの葛藤がにじみ出ていました。

 どこか不安そうで…、だけど、38期の最優秀選手として引っ張って行かないといけないという責任感。背負っているものの大きさを感じました。頭打ち、と自ら話していましたが、優勝戦にも乗るなど着々と前に進んでいます。

 36期、37期に比べられることもあるかもしれません。でも、そんな苦悩や葛藤をしている上原選手にしか描けない物語が必ずあります。たとえ少し出遅れても、その物語の終着点に彼の目標であるSG優勝があると信じて私はこれからも上原選手の走りを見届けたいと思います。