浜松オートのGI「第67回スピード王決定戦」は21日、12Rで優勝戦(湿走路)が行われ、鐘ケ江将平(37=飯塚)が終盤、展開を突く猛攻を披露しグレード戦初制覇を決めた。通算12回目の優勝。

 ドラマは終盤に訪れた。主導権を握った西翔子がグレード戦初Vヘひた走る。後ろに斎藤正悟、鐘ケ江と続く展開で、このままかと思われたが、7周3コーナーで西が痛恨のひと滑り。斎藤が先頭を奪おうとするところを「自分も態勢を取れていた」鐘ケ江が内から抜いて、劇的な勝利を収めた。

 終わって「たまがった(たまげた)」と興奮を隠さない。序盤で浅田真吾が落車し、直後につけた岩見貴史がその影響で後退。3番手浮上と展開が向いたのも確かだが、勝因はそれだけではない。落ち着いて臨めたことが大きかった。

「スタートは6(岩見)が早くて『そうでしょうね』と。それに西さんは最初から100%で走るタイプと思った。前半はオーバースピードで、後半ペースが落ちる予測はしていた。自分は自分のペースで走りました」。その想定通り徐々に前2車に接近し、終盤での逆転劇につなげた。「でも、こんなに冷静なのは珍しい。タイヤもいいし、エンジンのデキが良かったのが裏付けになった」と、仕上がり良好のマシンが平常心の維持を後押ししたと話した。

 2011年7月デビューから14年5か月でついにグレード戦初制覇。「エッという感じ。人ごとみたい」とまだ実感はない様子だが、これからは周囲の期待も自然と大きくなる。次節27日開幕の飯塚ミッドナイトで今年はラスト。「来年はもっと仕事します」と精進を誓った。